2020年11月14日土曜日

20201114 V60の腹の肉

9:30 現在、コーヒーはすでに二杯。UCCのタンザニア・ブレンド。昨日買って来たHARIOのV60ドリッパーを使ってみる。妙に好みの味に仕上がってしまったが、ドリッパーの所為か淹れ方の所為か量りかねるので要検証。

定規とコンパスで作図したみたいに直線的なコーノ式に並べると、HARIOの多段腹状の意匠は若干気色悪い。HARIOはこの多段腹を何を思ったかブランドイメージとしているらしく、計量スプーンやケトルにまで同じ意匠を採用している。この段々は円錐の外側にのみ施され、内側には干渉しないので、この多段腹は液の抽出、少なくとも湯の流れのコントロールにはなんら寄与しない、意匠的なものであろう。

内壁は上下にかけてなめらかに膨らんだカーブを描いており、その外側に件の腹が突き出している。縦断面図を取れば、壁の厚みが房を成しているのを見てとることができるだろう。透明なAS樹脂のコーンはそれゆえ上から見ると、房のそれぞれが周囲の風景を大きく歪めて透かし、それが同心円を成しているように見える。この効果は内壁にいく筋も走る螺旋状のリブの求心性と合わさって一層効果的だが、紙フィルターを被せ粉を投じてしまえばそれも関係ない。

外から見ると、斜め上方から見下ろされたとき、遠近効果に透明素材故の屈折と全反射とも相まってこの段々は目立たなくなるが、腰を屈めて視点を下げるにつれて、輪郭が解れていくように、徐々にこの括れがあらわになるとは言えそれはあくまでシルエットの上での括れに限ったものであって、素材の肉付きが見えるわけではない。

透明なAS樹脂製とはいえ、樹脂と空気の間に反射屈折が生じる以上、その断面形状が見えるわけではない(屈折率ゼロだったらそれはそれで今度は何も見えなくなってしまう)。透明性は全てを白日の下に晒すものでは決してなく、それどころか自らについてはむしろ一際に黙してしまう。透明な肉の厚みに私たちが触ることは決して叶わず、ただその鋳肌を撫で、日にそれをかざしてみるだかりだ。






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