2020年12月11日金曜日
20201211 肉、毛髪、芸術
2020年12月5日土曜日
20201205 洪水、修復、懸隔
"Florence: Days of Destruction" (University of Maryland Digital Collections)
イタリア文化の中心であるほどに、それは潜在的にその喪失、忘却、そして復古、修復の中心でもある。記事中には現地で指揮を取ったウンベルト・バルディーニやウーゴ・プロカッチ、近代修復学の祖チェーザレ・ブランディといった名があらわれる。そういえばブランディの所属する国立修復研究所は、遡ればファシズム政権下の文化政策の中心を担ったジュゼッペ・ボッタイが設立を指揮したものだった。
ボッタイの名を知ったのは鯖江秀樹『イタリア・ファシズムの芸術政治』(水声社、2011)でのことで、党首ムッソリーニの、ともすれば「キッチュ」になりかねない古典主義への偏執に苦言を呈するボッタイの姿勢が印象的だった。「復元よりも保護」を。始源と現代との間に横たわる隔たりを、明っけらかんと無みしようとする「キッチュ」を断固として拒絶し、むしろその懸隔、裂け目をこそ、いわば作品への遡行可能性の架橋として死守すること。
寒い。油が冷えて固まるように鈍い身体の循環だ。昨日届いたヘッドフォンを試した。Sony のWH-1000X M3 、ノイズ・キャンセリング機能が付いている。音楽なしでこの機能だけを有効にしてみているが、なかなか良いかもしれない。聞こえないというよりはむしろ無用に気をもっていかれることがなくなる、という感覚だ。距離が確保できる分、むしろよくそれを聞くことにすらなるかもしれない。テフロン加工の感覚器。
寒い。階下から響く物音への恐怖の中でこれを書いている。キーボードのバネの金切り声。ヘッドフォンをしてより低い打撃音に気付くようになる。硬直した指が押し返される。吸気が鼻腔をざらざらと擦り上げる音が響く。Da, Da. Halt.