2016年11月5日土曜日

京アニ山田尚子三部作における、伝えることの「練習」とその先。

京アニの山田尚子監督の三作品(『映画けいおん!』、『たまこラブストーリー』、『聲の形』)で常に主題となるのが「伝えること」であり、その過程では必ず何らかの「練習メディア」が挟まれる。

けいおんのロンドン旅行、たまこの糸電話、聲の形の手話である。

映画の結末を伝達の成功で迎えようとする限り、この練習は常に乗り越えられ精算されるべきものとして描かれる他ないように思われる。

かくして軽音部三年の4人は梓のための新曲で「ビッグでグローバル」を却下し、たまこともち蔵の糸電話は二人の間で弛んで下がり、硝子と将也は思いを声で伝えようとする。

しかしそれは単に精算し無みすることではあるまい。その練習期間の満了は演出的に巧妙にぼかされ、意味をスライドさせることで生きながらえさせられているように見える。

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