葉叢を透かして陽光を見る。無数の障害を掻い抜け太陽と私の目とを結びつけんとする直線は梢の揺らぎにすんでのところでその途を断たれたりする。
私はただたまたまにそこに出くわす、あるいはむしろその作図の末の交点としてのみ私はそこにありうる。
向こうを歩く人の姿が彼と夕陽とを結ぶ光線に団子刺しされたいくつかの葉叢に跨って絡め取られたようないくつかのすかすかの影がそれぞれにしかし互いに連関をもってうごめくのを、縮みこんでいく光の上澄みの暗みに身を沈めながら眺める。
ときには他の交点としての私を夢想しその交点との間に更に作図を重ねつつ。
右手後ろ下方の幼子の泣き声のひとすじが私の頬から鼻先にかけてを鈍く刳り震わせながら過ぎ去っていく。
しかしこの交点には嵩が、ないしは暈がある。私はいくらかは点ではなくむしろたとえばそれ自身が見るレンズであるかのように、部分的に透過を拒み、フレアを見たり、そこに自己を幻視したりする。
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